父の幻覚。クマとダイヤモンド。
10年ほど前に亡くなった父。最後の頃は、痛みを緩和するためにモルヒネを使用していました。とにかく、痛みだけはとってあげたいのが家族みんなの思いでした。
モルヒネを使用すると、幻覚を見ることがあり、人によっては怖い幻覚を見てしまうことがあるようです。
病室に眠っている父と私の二人きりだった時、突然、父に名前を呼ばれました。眠っているはずの父が起きていて、天井の方を指差し「ほら、ほら、見てごらん」と言われました。
私には白い天井しか見えません。
どうしたの?と聞くと、「大きなクマだねえ」と言いました。
怖い?と聞いたら、「怖くないよ。大きな立派なクマだねえ。ダイヤモンドがキラキラしてる」。
そういうと、また父は眠ってしまいました。
私は父が怖い思いをしていないかと「怖い?」とたずねたのですが、父は私がクマを見て「怖い」と言っていると思ったのかもしれないと、後になってから思いました。
父は若い頃、北海道に住んでいたことがあって、我が家にはレトロなクマの木彫りの置物があります。何か思い出(たぶん初恋)があるようで、とても大切にしていました。
幼い頃に両親を亡くした父はとても苦労をしたそうです。私達兄妹に自分の子供時代のことを語ることはなく、あまり思い出したいことではなかったのかも。でも、北海道時代のことは時々語り、ビールは「サッポロビール」がお気に入りでした。
父が亡くなってから数年後、引越しをした時にかなりの荷物を処分しましたが、木彫りのクマは一緒に引越しをしました。
クマは父にとってはきっと甘くて大切な思い出。キラキラしたダイヤモンドみたいな、家族の知らない記憶があるのかもしれません。
もうすぐお彼岸ですね。
最近はもう、父のことを思い出すことは少なくなったけど(ごめんね、お父さん)、
お墓はすぐ近所なのに、あまりお墓参りに行ってないけど(ほんとにごめんね、お父さん)、
私にとってのクマは、テディベアでも、プーさんでもなく、木彫りのクマです。
お酒が大好きだった父は、あまり甘いものは食べなかったけど、カステラは好きでした。
父が好きだった、クマとカステラ。
お父さんにピッタリのカステラを見つけたよ。クマのカステラだよ。
見て、一匹は鮭を抱いてる!絶対、お父さんのためのカステラだよ。
三重県発のカステラ専門店「DE CARNERO CASTE(デ カルネロ カステ)」のカステラです。
東京は世田谷区若林に店舗があり、2車両のカワイイ世田谷線沿線の松陰神社駅から徒歩3分。
小さなお店に置いているのはカステラ数種とカステララスクのみ。クマ以外にも幾つか焼印があって、どれもカワイイ。
キューブ小6個入り1,200円(ギフト用は1,300円)、ラスクは380円、ギフト用のカステラはオンラインショッピングも可能です。
ふわふわで底にはジャリジャリしたザラメ。
お彼岸にはお父さんにカステラを、と思ったけど食べちゃったよ。
お墓参りにはサッポロビールを持っていくからね。
▼デ カルネロ カステ
〒154-0023 東京都世田谷区若林 3-17-10
*東急世田谷線 松陰神社前駅から徒歩3分