でんぶが、でんぶが、でんぶがぁぁぁぁぁ。神田志乃多寿司の太巻き。
幼稚園の頃、母が突然入院したことがあります。
すぐに戻ってくるからねと言って急にいなくなり、3週間くらい入院しました。
それでも、父もいたし、兄もいたし、叔母が泊まりでまだ小さかった私達の面倒を見に来てくれたし、特に泣いたり、ぐずったりすることなく、辛抱強く母の帰りを待っていました。
幼稚園のお弁当も、叔母が毎日可愛く作ってくれていましたが、 私は叔母のお弁当をきっかけに「でんぶ」が食べられなくなりました。
でんぶ、ご存知ですか?
ピンク色をしたそぼろ状の、昔、お弁当のご飯にかかっていた、甘いアレです。
もともと、あんまり好きではなく、母もそれを知っていたので、お弁当に入っていることはありませんでした。
でも、そんなことを知らない叔母は、お弁当を可愛く見せようと、ピンクのアレをフリフリかけてくれたんです。
お昼時間、お弁当を開けると、目に飛び込んできたピンク色のでんぶ。
それを見た私は、突然悲しくなり、
大声で泣いて、
泣きまくって、
しゃくりあげて、
ゲロまで吐いてしまいました。
突然泣き始め、嗚咽しすぎてゲロまで吐いた私に、幼稚園の先生も驚愕し、騒然とした空気になったのを、中年になった今もはっきりと覚えています。
どうしたのって、先生に聞かれてもね。
でんぶが、でんぶが、でんぶがぁぁぁぁぁ。
母なら入れないはずの「でんぶ」を見て、なんか急に悲しくなっちゃったんでしょうね。
それから、でんぶが大嫌いになり、見るのもイヤなほど、嫌いになってしまいました。
そんな、悲しい思い出のでんぶ。
最近はあまり「でんぶ」を見かけないので、でんぶが嫌いなことも忘れていたんですけど、この太巻きで食べられるようになったんです。
神田志乃多寿司の太巻きです。
1本、約1300円です。
先日ご紹介の「近江屋洋菓子店」から、本当にすぐそば。
普段は新宿伊勢丹で購入しますが、母の通院帰りは、ケーキを買って、太巻きを買って帰るのが定番です。
本店は、昔気質風の太巻き職人?さんが、ずらりと並んで出迎えてくれます。
デパートのも十分おいしいけど、本店は注文するとその場で作ってくれるので、よりおいしいなって思います。
卵焼き、きゅうり、かんぴょう、しいたけ、レンコン、そして、可愛いピンク色のでんぶ。
ちょっと甘めの濃い味付けで、私にとってのベスト・オブ・ベスト太巻き。
絶対、変化を加えたり、アレンジしたり、絶対、絶対、して欲しくないです。
でんぶも含めて、パーフェクトなんです。
神田志乃多寿司は、お稲荷さんも有名です。かんぴょう巻きも入った、折り詰めもオススメです。
そして、そして、包み紙も、無茶苦茶カワイイです。
誰がこの包み紙にしようって決めたのかなあ。
センスあるなあ。
私が店主だったら「うちは、お菓子屋じゃないんだぞ」とかつまらないこと言って、ボツにしちゃったかもしれません。
神田志乃田寿司への愛を語り尽くした最後に、一つだけ「げせない」モノがあります。
それは、横に添えられている「生姜漬け」。
お寿司に添えられた生姜は「甘酸っぱい」はずだと思って食べると、
甘さのない、辛味にビックリします。
かんぴょうなどが甘めだから、辛い生姜なのかなあ。
それにしても、辛すぎると思います。
ここだけ、ここだけが、何度食べても腑に落ちないポイントです。
▼神田志乃田寿司
http://www.kanda-shinodasushi.co.jp/frame.htm